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過去の恋愛体験や思い、家族、終活、シャンパンなど、取り留めのない世迷言。


街を歩きながら ふと曇天を見上げた
私の両耳には
ドリカムの『悲しいkiss』が流れていた

気がつくと目に涙が溢れてきた
誰にも話していない 記憶のカケラが出てきた

私が20歳の時
1週間だけ病院に入院をしたことがある
歩くことはできた 
入院は暇でつまらない
病院内をふらふらしていた
院内の中庭で二人の男の子と知り合った
一人は7歳の子 もう一人は15歳の子
二人とも小児がんを患っていた
二人とも抗がん剤治療の副作用で髪が無かった
でも二人には笑顔があった
いや笑顔をあえて作っていたのかも…
今 思えばね
見舞いに来てくれる 家族のために

私が退院するまで 二人とよく中庭で話をした
でも時々寂しい顔を見せていた
二人とも自分の病気が深刻であることに
気づいているようだった
特に7歳の男の子は調子が悪そうだった
私の退院の日 二人は寂しがってくれた
弟のように可愛いと思っていたので辛かった

私が通院で訪れる日を伝えて別れた
「また 会おうね!」 って

1ヶ月か2ヶ月後に私は通院で訪れた
嫌な予感が当たってしまった
7歳の男の子は亡くなってしまっていた
15歳の男の子はとても辛い表情で
このことを私に教えてくれた

15歳の男の子は私に
次はいつ病院に来るのか尋ねた
通院予定日を告げると
「もしそれまで僕がここにいたら
 お願いがあるんだ いい?」
「私は学生だからお金がすごくかかるものはダメだよ!」
と言って別れた

また1ヶ月か2ヶ月後に私は通院で訪れた
15歳の男の子と会った
すごくやせ細ってしまっていた
「約束覚えている?」
「うん お願いは何?」
「誰もいないところで話したいんだけど」
「いいよ」
車椅子に乗った15歳の男の子
車椅子を押して 屋上へ

屋上は景色がいい
6月の空は曇天だった
でも風がよく通る
「風が気持ちいいね 寒くない?」
「大丈夫だよ
 あのね もう僕ダメなんだ
 慰めはいらないよ 自分でもわかるんだ
 そういえば… 
 お姉さんが入院していた時来た男の人は彼氏?」
「そうだよ」
「無理なことお願いする
 あのね 僕にキスしてほしいんだ
 こんなこと誰にも言えないし…」
黙ったままになってしまった
女性に興味がでて当たり前の年頃
今 思い返すと私には母性的な感情が出ていたと思う

私は15歳の彼の頬にそっとキスをした
「女の人の唇 柔らかいんだね
 ありがとう お姉さん」
次に通院する日を告げると
「また 僕がいたら またお願いしてもいい?」
「いいよ」
15歳の彼と別れた 
帰り道 何故か涙が溢れて止まらなかった

次の通院日に小児病棟には15歳の彼はいなかった
涙が止まらなかった
あまりにも早すぎる死
色々夢があることを言っていた
もう叶わない
彼にとって初めてできっと最後の女性が
私で良かったのだろうか
悩んでしまった
もう 聞くことはできないけど…

そんな辛い記憶が一気に出てきた
思い出した 今でも思う
本当に良かったのだろうか
答えは出ない きっと無理だろうね


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アラフィフ女性
人生を振り返り、終活活動を模索中。
独りよがりなことをつぶやいています。

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